S-63 の規定では、電子海図を復号して SENC を作成する場合、ECDIS、ECS 内では、SENC も暗号化される事、または、SENCはユーザーが見ても容易に解読できない事、が要求されています。 これは、SENC を他の ECDIS、ECS にコピーした場合に動作しない事に対する要件です。
ENC 変換ユーティリティーの出力ファイルは、オープンフォーマットの MIF 形式、または、SHAPE 形式のファイルを作成します。 これをSENC と解釈した場合、他のシステムでも利用可能であるため、これは S-63 規定に反する、と海洋情報部は解釈しています。
しかし、作成された MIF ファイルや SHAPE ファイルからは、以下の点において、暗号化されていない電子海図が合成できません。つまり、変換後のファイルを、航海目的には使えません。
Undefined 属性
Unknown 属性
空間分割
C_AGGR、C_ASSO 対応
データリミット
マスク
本来、電子海図は航海目的で使用するために暗号化されています。変換されたファイルが航海目的として使用できない以上、海洋情報部の解釈は釈然としません。 また、暗号化される前は、問題がなく、暗号化後は問題である、となると、矛盾が生じます。

海洋情報部は、これらのソフトウェアが暗号化対応した場合、これらのソフトウェアは暗号化電子海図を解読する事が主たる目的であると解釈しています。 暗号解読を主たる目的とするソフトウェアの販売・輸入・配布・譲渡は、著作権法に反します。
しかしながら、これらのソフトウェアは、電子海図が暗号化される以前から製造販売しており、暗号解読が主たる目的でない事は自明です。