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S-63 航海用電子海図
航海用電子海図の配布フォーマットは、S-57 形式と呼ばれるものと、S-63 形式と呼ばれるものがあります。日本では、以前は S-57 形式で配布されていましたが、現在は、S-63 形式で配布されています。S-63 形式は、簡単に言えば、S-57 形式を S-63 規格で暗号化したものです。
航海用電子海図を購入すると、２枚または３枚の CD-ROM が送付されます。
1. セルパーミット CD
S-63 規格で暗号化された航海用電子海図を複合するためのキー（文字列）が入った CD-ROM です。エクスプローラで見ると、
たった２ファイルしかありません。ENC.PMT は、PERMIT.TXT から作ることができるテキストファイルで、なくてもかまいません。ECDIS や、ECS に航海用電子海図をインストールする際には、通常、このセルパーミット CD のキー情報を先にインストールします。
2. 航海用電子海図 CD-ROM
さて、次は、航海用電子海図 CD-ROM です。エクスプローラで見ると、フォルダが沢山あって、最後に拡張子が 000 のファイルが見えます。
上の例では、CD-ROM の下に ENC_ROOT があり、その中に、JP があり、その下に、JP5BIR4S があり、さらに、2 の下に、9 があって、やっと、２つの 000 ファイルが見えます。ENC_ROOT の下には、CATALOG.031 があり、航海用電子海図を利用するソフトウェアは、このファイルに書かれているフォルダの構造を参照して、最終的な拡張子が 000 のファイルをアクセスします。
実は、航海用電子海図 CD-ROM には、刊行機関コードが JP の、すべての航海用電子海図、つまり日本全部の航海用電子海図、が含まれています。航海用電子海図を利用するソフトウェアは、セルパーミット CD から、利用可能なセルのみを航海用電子海図 CD-ROM から読み取ります。
この例で、JP5BIR4S.000 が、航海用電子海図のデータセットに対応します。S-63 規格に従って、このファイルをセルキーで復号すれば zip 形式で圧縮されたファイルになります。これを解凍すると、S-57 形式のデータセットになります。セルキーは、セルパーミットに含まれていますが、ECDIS や ECS の HW_ID で暗号化されているので、利用者にはわかりません。
航海用電子海図 CD-ROM は、何ヶ月かに１回、リイッシューされています。リイッシューとは、電子水路通報 CD-ROM のアップデート情報が適用された航海用電子海図を指します。リイッシュー直後に航海用電子海図を購入すると、電子水路通報 CD-ROM は購入と同時には送付されません。
3. 電子水路通報 CD-ROM
最後は、電子水路通報 CD-ROM です。エクスプローラで見ると、以下の様なディレクトリ構造をしています。
航海用電子海図 CD-ROM と同様に、ENC_ROOT の下に JP があって... なのですが、ファイルの拡張子が、この例では 008 になっています。これは、このセルに対する８回目のアップデート（すなわち、電子水路通報）を意味しています。このファイルも航海用電子海図 CD-ROM のデータセットと同様に暗号化されています。S-57規格、S-63規格共に、航海用電子海図 CD-ROM と、電子水路通報 CD-ROM とを区別していません。電子水路通報 CD-ROM に含まれるファイルを航海用電子海図 CD-ROM に含める事は可能です。
利用者は、航海用電子海図 CD-ROM をインストール後に、電子水路通報 CD-ROM をインストールする事になります。なお、電子水路通報は、正規ユーザであれば、以下の URL からダウンロードできます。利用に当たっては、航海用電子海図を購入した時に発行されたユーザとパスワードが必要です。
電子水路通報ダウンロードサイト； https://www.jha.jp/UsersService/
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