プレゼンテーションライブラリー
航海用電子海図のデータ構造規格は、S-57 に準拠します。しかし、S-57 によって束縛されるのは、データやその転送方法などであって、データの ECDIS 画面への表示方法は、S-57 では規定されません。 ECDIS 画面に対するデータの表現方法の規定は、プレゼンテーションライブラリーによって決まります。プレゼンテーションライブラリーは、IHO 特殊刊行物 S-52 の一部ですが、 プレゼンテーションライブラリーとして単独で分割して販売されています。正式名称は、IHO ECDIS PRESENTATION LIBRARY です。下の写真は、実際の CD-ROM です。 プレゼンテーションライブラリーは、航海用電子海図の画面表示の規定です。航海用電子海図データの画面表示方法は、原則的にデータによって規定されています。 表示方法は、プレゼンテーションライブラリーを交換する事によって、変更する事が出来ます。例外は、Complex Symbolization と呼ばれるもので、プログラムによって処理する必要があります。 例外については、処理方法がドキュメントに処理フローが示されています。下の画面は、CD-ROM の中身です。画面で選択されている PRESLIB03.DAI と言うファイルが、プレゼンテーションライブラリー自体です。 CD-ROM の中には、このファイルの使い方のドキュメントが PL03TEXT.WPD (何と、WordPerfect の形式、拡張子が WPD)で入っています。 この他にも、プレゼンテーションライブラリーを別のフォーマットで表現したファイルや、色変換のプログラムなどが入っています。主なファイルを下に示します。
では、PRESLIB03.DAI を見てみましょう。プレゼンテーションライブラリーのファイルは1つですが、3つのパートに別れています。PRESLIB03.DAI は、ノートパッドで見れる(概ね普通の)テキストファイルです。 1.色の規定
最も上の部分が色の規定です。色に対して名前が割り振られています。電子海図は、船のブリッジで見るデータですので、明るい時にも見やすい色や、暗い時にもウォッチに影響のないような色などが規定されています。
色は、出力するデバイスに依存しない CIE で表現されています。具体例を見てみましょう。 最初の行は、色の組み合わせの名称です。全部で5種類の色の組み合わせが定義されています。 DAY_BRIGHT 昼間の明るい時に使用される色の組み合わせです。電子海図が美しく表現されるので、好んで使用されます。 DAY_BLACKBACK これも昼間に使われます。黒がバックの基調として使われます。 DAY_WHITEBACK DAY_BRIGHT と色の配色は同じですが、やや暗くなります。 DUSK 朝方及び夕方の薄明るい状況で使用されます。 NIGHT 夜間のブリッジが暗い場合に、見張りに影響が出ない色の組み合わせです。昼間に見ると、何も見えません。 上の例で、2行目以降が、色名の定義です。NODTA と言う色の名前に対して、色の値が CIE 値で定義されています。色名は、全部で64個あります。 2.ルールの規定
オブジェクトとアトリビュートが決まった時に使用するシンボルの名称が規定されています。シンボルの組み合わせは、SIMPLIFIED 型と PAPER_CHART 型の2種類の表現方法があります。
PAPER_CHART 型の具体例を示します。 3.シンボルの規定
シンボルの形状が規定されています。もちろん、点だけではなくて、線や面に対しても、その画面への表現方法が規定されています。
色のアサインは、使用する色名が参照されます。色の組み合わせ名(DAY_BRIGHTなどの名称)の切り替えは、色名と色の対応の切り替えです。これによって、昼夜の配色を切り替えます。 具体例を見てみましょう。まず、色の組み合わせのを変更したらどうなるでしょうか。 下の画面は、DAY_BRIGHT の時の画面です。 (画像をクリックすると、1280 x 1024 ピクセルの画像が見れます) 同じ画面を DAY_BLACKBACK にしてみましょう。この時は、基調の配色が黒になります。 (画像をクリックすると、1280 x 1024 ピクセルの画像が見れます) どうでしょう。随分イメージが変わりました。さて、今度は、同じDAY_BRIGHT でも、シンボルを PAPER_CHART から SIMPLIFIED にしてみましょう。 基本的には変わらないのですが、ブイなどの航路標識の表現方法が異なってきます。 会社情報 サイトご利用にあたって |
||||||||||||||||||||||||||