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航海用電子海図の位置精度


大港湾や瀬戸内海などの入り組んだ場所では、複数の航海目的(縮尺)の航海用電子海図が紙海図と同様、数多く刊行されています。縮尺が違えば、座標の位置の精度が異なります。 現状の航海用電子海図は、紙海図をデジタル化したものと考えて殆ど間違いありません。(電子水路通報には、位置がデジタルで測量されたデータが含まれています。) 海図を計測する場合、読み取り精度は 0.2mm 以内です。これは、最も細い線が 0.2 mm である事に由来しています。
例えば、縮尺 1/10,000 の紙海図から計測されて作られた航海用電子海図の位置の精度は、

0.2 mm X 10,000 = 2 m

になります。ただし、紙海図自体を作る時の、アナログの転記による誤差はない、と言う前提です。
実際の航海用電子海図の位置精度を見てみましょう。画面の表示にあたっては、同じ場所での複数の航海用電子海図のセルが同時に表示できる ENC Designer を使っています。使用したセルは、JP44OJBE と JP45OJBE です。 両方を同時に表示したのが、下の画面です。



(画像をクリックすると、1280 x 1024 ピクセルの画像が見れます)

航海目的が Approach の JP44OBJE は、表示されている領域では、海図番号92、縮尺は 1/35,000 から作られています。航海目的が Hourbour の JP54OJBE は、海図番号1068、縮尺は、1/7,500 で作られています。 水深が密な領域が両方の航海用電子海図が重なっている部分です。表示している縮尺は、1/35,000 ですので、大縮尺の JP54OJBE が重なっている部分は、ごちゃごちゃになって判読できません。 ただ、海岸線や、ブイなどは、この2つの航海用電子海図をこの縮尺で見た場合は、不整合がないように見えます。
では、これを大縮尺の JP54OJBE の編集縮尺、即ち 1/7,500 で表示したらどうなるでしょうか。



(画像をクリックすると、1280 x 1024 ピクセルの画像が見れます)

画面のハードコピーに、3種類の大きさの赤丸を入れました。小さい赤丸は、2つの航海用電子海図の水深の位置のずれです。このケースでは、より小縮尺の海図が 1/35,000 ですので、海図の計測に伴う位置精度は、

0.2mm X 35,000 = 7m

です。実際に水深の位置のずれを測ってみると、7m 以上になっている所もありますが、これは、元々の紙海図を作ったときの誤差に起因すると思われます。 アナログの転写で作られたものですので、この程度のずれは仕方ないと思います。また、等深線は、小縮尺の方が、大縮尺に比べて安全サイドに描かれているように見えるので、問題はなさそうです。
中くらいの赤丸で示した部分と、大きな赤丸で示した部分は、ちょっと問題があります。 まず、中くらいの赤丸の中には、ブイが2つあります(ENCDesinger のデバイダーで2点の距離を測定しているため、2つのブイの間の細い赤線が見えます)。 JP44OJBE と JP54OJBE には、このブイはそれぞれ1つしかありません。2つのブイの距離は、140m 位あります。これは、海図の計測の精度を大幅に上回っています。 何らかのミスによるもの、と思われます。どちらが正しい位置なのか、わかりません。
大きな赤丸に至っては、海岸線の形状が全然違います。2つを重ねると、陸の中に平気で海があります。埋め立てによる補正が、より小縮尺の JP44OJBE に入っていないのでしょう。 計測した海図の刊行年の違いなのでしょうか。それとも、電子水路通報が片方にしか存在しないためでしょうか。

さて、2002年6月19日に水位計テレメーターのメンテナンスのため油壷に行きました。帰りに撮ったこの場所の写真です。 大きな赤丸の右端位から真西の方向です。案の定、埋め立てをしていました。






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